今の仕事は、自分に向いていない気がする。
ミスをしたり、周りの人のようにできなかったりすると、「自分には何もできないのかもしれない」と思うこともあるんじゃないでしょうか。
でも、「仕事が向いていない」という言葉には、いろいろなものが混ざっています。仕事内容そのものが合わないこともあれば、教わり方や経験不足で難しく感じていることもあるし、職場の雰囲気や評価のされ方、働く時間、人とのやり取りが負担になっていることだってあります。
この記事では、向いている仕事を診断したり、辞めるべきかを判定したりするつもりはありません。まずは「何が向いていないと感じるのか」を分けて、今の職場で確認できることや、誰かに相談したいことを整理していきたいと思います。
仕事が向いていないと感じても、仕事内容が原因とは限らない
「この仕事は向いていない」と感じると、仕事をする自分そのものに問題があるように思えてしまうことがあります。
ただ、同じ仕事でも、会社や働く条件が変われば感じ方が変わるかもしれません。
たとえば、会議でうまく話せなかった場合でも、
- 大勢の前で話すことが苦手
- その場で答えを求められることが苦手
- 意見を否定されるのが怖い
- 会議の目的が分からず話しにくい
では、負担の中身が違います。
「会議が苦手だから、今の仕事に向いていない」と一つにまとめるより、どの部分が負担なのかを分けたほうが、条件が変われば取り組めるのかも考えやすくなります。
まずは、次の3つを分けて考えてみます。
- この仕事内容が合わないのか
- この会社が合わないのか
- 今の働き方が合わないのか
この3つを同じものとして考えないところから始めてみましょう。
「向いていない」と感じる場面を5つに分けてみる
ここでは、仕事で負担を感じる場面を5つに分けます。どれか一つに決める必要はありません。複数に当てはまっても、うまく分類できないことが残っても大丈夫です。
仕事内容そのものが合わない
一つ目は、仕事で行う作業そのものに負担を感じる場合です。
たとえば、
- 数字を追い続けることが苦しい
- 細かい確認作業が続くと集中できない
- 突発的な判断を何度も求められる
- 興味を持てない商品を勧めるのがつらい
- 人前で話す業務が大きな負担になる
といったことです。
大切なのは、職種名だけで考えないことです。「営業が向いていない」ではなく、「初対面の人へ何度も電話をかけることが負担」のように、実際にしていることまで小さくしてみます。同じ営業でも、電話営業と既存顧客への対応では、必要な動き方が違います。仕事内容のすべてではなく、一部の業務にだけ強い負担を感じていることもあるかもしれません。
教わり方や経験が足りていない
今できないことが、そのまま「向いていないこと」とは限りません。説明を十分に受けていない、質問できる人がいない、慣れる前から結果を求められている。そういう環境だと、本来できる可能性があることも難しく感じてしまいます。
たとえば、
- 手順を教わらず、見て覚えるように言われた
- 質問すると嫌な顔をされる
- 担当者によって説明が違う
- 未経験なのに、経験者と同じ速さを求められる
- 失敗の理由を振り返る時間がない
といった状況です。
「何度教わっても、この作業だけは難しい」のか。
それとも、「そもそも十分に教わっていない」のか。
ここを分けるだけでも、自分の適性だけを責めずに済むかもしれません。
職場環境や評価のされ方が合わない
仕事内容はできても、会社の考え方や評価方法に納得できないことがあります。
- 仕事の成果より、上司に気に入られることが重視される
- 現場から提案しても、最初から否定される
- 会社のために意見を出すより、経営者の考えに合わせた発言が求められる
- 頼られて仕事が増えても、役割や待遇は変わらない
- 周囲への貢献が評価に反映されない
こうした場合は、「仕事ができない」のではなく、職場が求める振る舞いや評価基準が、自分の考えと合っていない可能性があります。
Tomoriの経験
僕自身、人事・採用を含めて約8年働いた会社で、仕事内容そのものを「向いていない」と感じていたわけではありません。事務、営業、配達、人事、現場の手伝いまで担当していて、何かあると周囲から僕に確認されることも増えていきました。頼られることや、会社や従業員の役に立てている実感には、正直、居心地のよさもあったんです。
ただ、会議では「売上○○を目指す」と言っても、具体的にどう実現するかを話し合うわけではありませんでした。従業員が現場をよくするために提案しても、まず否定される。そのうち「社長ならどう考えるか」に合わせた意見を言うことが、いつの間にか正解のようになっていったんです。
実際に評価されていくのも、現場から頼られている人より、社長に気に入られている人に見えました。人事として中途採用者の給与を知っていたこともあって、自分の担当範囲や頼られ方と比べると、「これだけやっても、給与はこれくらいしか変わらないのか」と感じることもありました。
評価のされ方について伝えること自体が、小言を言われたり評価を下げられたりする要因になりそうで、相談もできませんでした。僕が「向いていない」と感じていたのは、人事などの仕事そのものというより、仕事への貢献より社長の顔色をうかがうことが重視される会社だったんだと思います。
働く時間や場所が合わない
仕事内容には大きな不満がなくても、働く時間や場所が負担になることがあります。
- 通勤だけで疲れてしまう
- 長時間働くと集中力が続かない
- 休憩を自分のタイミングで取れない
- 生活リズムと勤務時間が合わない
- 周囲の音や人の動きが多く、集中しにくい
こうした負担は、職種を変えなくても、勤務時間や勤務場所が変われば軽くなるかもしれません。反対に、好きな仕事であっても、今の働き方では続けにくいこともあります。「好きな仕事なら頑張れるはず」と決めず、時間や場所も別の条件として見てみるといいかもしれません。
人とのやり取りの方法が合わない
「人と話すのが苦手」「人と関わる仕事は向いていない」と思っていても、すべてのやり取りが苦手とは限りません。
- 大勢の前で話す
- 初対面の人と次々に話す
- 電話でその場の回答を求められる
- いつ連絡が来るか分からない
- 自分の考えをまとめる前に返事を求められる
など、特定の方法が負担になっていることもあります。
僕は退職後、SNSで相談を募集して、数人と話したことがあります。話を聞くこと自体が嫌だったわけではありません。ただ、相談を受けたその場で役立つ回答を返そうとすると、正直かなりのプレッシャーを感じたんです。
一方で、ブログやSNSでの発信なら、考える時間を取って、自分のペースで整理してから言葉にできます。この差から、僕の場合は「人の相談に関わること」自体が合わないのではなく、リアルタイムで答えを求められる方法が負担なんだと分かりました。
仕事内容が似ていても、伝え方や時間の使い方が違えば、取り組みやすさは変わってくるものだと思います。
「できない」ではなく、負担を感じた場面から考える
「何が向いていないのか」を考えるときは、いきなり職種や性格へ答えを広げず、最近の具体的な場面を一つ思い出してみます。
次の項目を、書けるところだけ埋めてみてください。
整理する項目
【何をしていた?】
【そのとき、何が負担だった?】
【いつも負担? 特定の条件だけ?】
【時間があれば取り組めそう?】
【教えてもらえれば取り組めそう?】
【一人や少人数なら取り組めそう?】
たとえば、次のように書けます。
架空の記入例
【何をしていた?】
会議で新しい企画について意見を求められた。
【そのとき、何が負担だった?】
その場ですぐに意見をまとめて話すこと。
【いつも負担? 特定の条件だけ?】
事前に議題が分かっている会議では、それほど困らない。
【時間があれば取り組めそう?】
事前に考える時間があれば、意見を出せそう。
この場合、「企画を考える仕事に向いていない」とは限りません。企画を考えることではなく、その場で答えることに負担を感じている可能性があります。うまく書けなくても、「会議のあとにいつも疲れる」まで分かれば十分です。
条件が変われば取り組めそうか考える
負担を感じる場面が見つかったら、「何が違えば少し取り組みやすいか」を考えてみます。
たとえば、
- 業務量が少なければ続けられそう
- 手順を教えてもらえれば取り組めそう
- その場で答えず、考える時間があれば話せそう
- 成果や役割が評価される職場なら続けられそう
- 勤務時間を調整できれば負担が減りそう
- 条件が変わっても、この業務自体は避けたい
といった分け方です。
ここで「変えてもらえるか」まで、すぐに考えなくても構いません。まずは、自分にとって何が違えば取り組みやすいのかを知ることが先です。会社に相談できそうなら、業務量や役割、教わり方について確認する方法もあります。
ただし、僕のように、意見を伝えることで評価が下がったり、小言を言われたりしそうで、話しにくい職場もあります。そのような場合まで、無理に社内で相談する必要はありません。社外の人に状況を話しながら、自分がどうしたいかを整理する方法もあります。
自分で確認することと、相談したいことを分ける
ここまで考えたことを、短いメモにまとめてみます。
向いていないと感じたときの整理メモ
【負担を感じた場面】
【特にしんどかったこと】
【条件が違えば取り組めそうか】
【今の職場で確認できること】
【一人では判断しにくいこと】
【次の職場では避けたいこと】
すべて埋める必要はありません。「条件が変わればできるか分からない」「誰に相談すればいいか分からない」という書き方でも大丈夫です。
メモにしておくと、家族や友人、職場の人、キャリア相談などへ話すときにも、何に困っているのかを伝えやすくなります。
一人で整理しにくい場合は、悩みの内容に合う相談先を確認できます。
→「仕事を辞めたいときの相談先・相談窓口6つを見る」
体調がつらいときは、適性の判断を急がなくていい
疲れや心身のつらさが強いと、以前はできていたことが難しく感じる場合もあります。そのような状態で、「仕事に向いていない」「自分には能力がない」と結論を出す必要はありません。まず休むことや、今の状態を誰かに話すことを優先しても大丈夫です。
病気かどうかを自分で判断するために、この記事の項目を使う必要もありません。
働く人やその家族は、厚生労働省の「こころの耳」で電話・SNS・メールによる相談を利用できます。診断や治療を行う窓口ではないため、体調や治療については医療機関へ相談してください。
「こころの耳」の相談窓口を確認する
整理する余裕がなければ、「仕事のことを考えるのがつらい」「何から話せばいいか分からない」という状態から伝えても構いません。
辞めるかどうかは、合わないものが見えてから考えてもいい
仕事が向いていないと感じても、すぐに退職か我慢かを決める必要はありません。
仕事内容そのものが合わないなら別の業務や職種について調べてみる、教わり方や経験が原因なら確認できる相手や練習する時間があるかを見てみる、職場の雰囲気や評価基準が合わないなら今の会社以外ではどうなのかを調べてみる、働く時間や人とのやり取りが負担なら条件の違う働き方を探してみる、というふうに、合わないものによって次に確認することは変わってきます。
転職すると決めていなくても、求人票を見て、今とは違う条件があるか確認することはできます。
次の職場で同じことを繰り返すのが不安な場合は、求人票で確認しやすい条件と、入社前には見抜きにくい部分を分けて考えられます。
→「転職前に求人票で確認できること・分からないことを見る」
まとめ|「自分が向いていない」から、合わない条件を一つ見つける
「仕事が向いていない」と感じると、自分には働く能力がないように思うことがあります。
でも、実際に合っていないのは、
- 仕事内容の一部
- 教わり方
- 職場の雰囲気
- 評価のされ方
- 働く時間や場所
- 人とのやり取りの方法
のどれかかもしれません。
僕も、仕事そのものより、会社の評価基準や風潮に「ここでは無理やな」と感じていました。
まずは、最近負担を感じた場面を一つだけ書いてみてください。何が違えば取り組めそうか、まだ分からなくても大丈夫です。
「自分は何もできない」と大きく考えるところから、「この条件がしんどい」と一つ言葉にする。
今日は、そこまででも十分です。

この記事を書いた人:Tomori
人事・採用の仕事を経験し、仕事を辞めたいと思いながら3年以上動けなかった経験があります。TOMORIBASEでは、働き方に迷ったときに「今すぐ大きな決断をしなくてもできること」を中心に書いています。


