仕事を辞めたいと思いながら、僕は3年以上働き続けました。
求人を探して面接を受けて、内定をいただいたこともあります。キャリアコンサルタントのスクールにも通いました。それでも次の仕事はなかなか決められず、最終的には転職先が決まっていない状態で退職することになったんです。
そこに至るまでの迷いや、なかなか動けなかった理由は、前回の記事に書いています。
関連記事

今回書くのは、その続きです。
退職すると決めたあと、僕が最初にしたのは、退職届を書くことではありませんでした。
毎月の生活費を計算して、妻と今後について話して、国民健康保険や国民年金、住民税については役所へ確認しに行きました。
そうやって情報を集めるなかで民間の退職サポートを知り、相談したことがきっかけで、メンタルクリニックを受診することにもなりました。
流れにすると、次のようになります。
- 退職を決断する
- 生活費と制度を調べる
- 妻と今後について話す
- 民間の退職サポートへ相談する
- メンタルクリニックを受診する
- 双極性障害と診断される
- 退職届を提出する
次の仕事を決め、十分な貯金を用意し、退職後の予定まで組んでから辞めた。そんなきれいな話ではありません。
準備できたこともあれば、できなかったこともありますし、退職してから初めて知った選択肢もありました。
この記事では、退職すると決めてから実際に確認したことと、決められなかったまま退職したことを、当時の順番に沿って振り返ります。
退職すると決めたあと、最初に考えたのは生活のことだった
退職を決めた時点でも、次に何をして働くのかは決まっていませんでした。
本当は転職先を決めてから辞めたかったです。家族もいますし、仕事を辞めれば毎月入っていた給与がなくなるわけで、「いったん辞めてから考えよう」なんて簡単に割り切れる状態ではありませんでした。
ただ、次の会社が決まるまで今の環境で働き続けることは、もう難しいと感じていたんです。
だから、分からないまま次の仕事を無理に決めるのではなく、まずは退職後の生活がすぐに立ち行かなくなるのかどうかを確認することにしました。
退職するかどうかを考えていた頃の僕にとって、一番大きかったのは、お金の不安だったからです。
最初に計算したのは、毎月の生活費だった
まず、毎月いくらあれば生活できるのかを計算しました。
家賃、車などのローン、光熱費、通信費、保険料などの固定費を洗い出し、そのうえで次のことを確認しました。
計算したからといって、お金の不安が消えたわけではありません。
収入は減りますし、貯金を取り崩す可能性もあります。次の仕事がいつ決まるのかも、正直まったく分かりませんでした。
とはいえ、妻の収入や雇用保険の基本手当を含めて考えると、退職した直後から生活できなくなるわけではなさそうだと分かりました。
漠然と「仕事を辞めたらお金がなくなる」と考えていたときと、毎月必要な金額や不足額を数字で見たときとでは、退職後の生活の見え方が違いました。
十分なお金を用意できたから退職したのではありません。
「少なくとも一定期間は、生活を続けられそうだ」と確認できたことが、僕にとって退職を進める後押しになりました。

妻と、退職後の生活について話した
妻には、それ以前から何度も仕事の愚痴をこぼしていました。
しんどそうにしている僕を長く見ていたこともあり、

そこまでしんどいなら、辞めることには反対しないよ
と言ってくれていました。
ただ、退職すると決めてからは、愚痴を聞いてもらうだけではなく、これからの生活について具体的に話すようになりました。
- 雇用保険は、どのくらいの期間受け取れそうか
- 民間の退職サポートを利用するなら、いくらかかるのか
- 給付を受けながら、次の働き方をどう考えるか
当時は、すべてに答えを出せたわけではありません。
でも、体調に配慮しながら無理のない範囲で求職活動を続け、給付期間中に次の働き方を一緒に考えていこう、という方向は夫婦で共有できました。

妻は、お金のこと以上に、僕の心と体を心配してくれていたように思います。
もちろん家計や家族の考え方によって、できる判断は変わりますし、家族がいる人なら僕と同じ進め方ができるとは限りません。
ただ僕の場合は、退職後に見込める収入と必要な支出を妻と共有し、「二人でどうするか」を話せたことが、前へ進む力になりました。
国保・年金・住民税について役所へ確認した
会社を辞めると、給与がなくなるだけでなく、健康保険や年金の扱いも変わりますし、住民税の支払いも続きます。
そこで、退職後の国民健康保険、国民年金、住民税について、必要な手続きや負担額、免除・減免を受けられる可能性がないかを役所へ確認しに行きました。
| 確認したもの | 主に確認したこと |
|---|---|
| 国民健康保険 | 手続き・負担・減免 |
| 国民年金 | 切り替え・免除や猶予 |
| 住民税 | 退職後の支払い・減免 |
ネットで調べれば、さまざまな情報が出てきます。
ただ、実際にどの制度の対象になるかは、退職理由、前年の収入、世帯の状況、住んでいる自治体などによって変わります。自分の場合はどうなるのか、ネットの情報だけでは判断できませんでした。
窓口で確認したことで、負担がすべてなくなったわけではありません。それでも、退職後にどのような支払いが発生するのかを先に知れたことは大きかったです。
知らないまま退職日を迎えるより、必要になりそうな金額を生活費に含めて考えられるようになりました。
※制度の内容や利用条件は、人によって異なります。実際に退職を検討する場合は、役所、年金事務所、ハローワークなどの公式窓口で、自分の状況を伝えて確認してください。
情報を集めるなかで、民間の退職サポートを知った
生活費や退職後の制度を調べているときに、民間の退職サポートというサービスを知りました。
そのサービスでは「退職給付金」という名称が使われていました。
最初に見たときは、正直、期待よりも怪しさのほうが勝っていたと思います。
「会社を辞めるだけで、そんなに都合よく受け取れるお金が増えるのか」
「公的な制度なのに、民間サービスへ費用を払う意味があるのか」
分からないことが多かったので、まずは情報収集のつもりで問い合わせてみました。
説明されたのは、雇用保険などの公的制度についてでした。僕が利用したサービスでは、制度の説明に加えて、必要書類の案内や申請に関するサポートなどがありました。
利用には費用がかかります。
そのため、案内された内容をそのまま信じて申し込んだのではなく、支払う費用と、自分が制度の対象になった場合に見込まれる給付日数や金額を比べました。そのうえで、今後を考える時間を確保できる可能性があると判断して、利用を決めました。
ここで注意したいのは、民間サービスが雇用保険の給付日数を決めたり、増やしたりするわけではないことです。認定や給付日数は、本人の状況や提出書類などをもとにハローワークが個別に判断します。
「退職給付金」は、僕が利用した民間サービスで使われていた名称です。同じ名前の公的給付があり、会社を辞めれば誰でも受け取れる、という意味ではありません。
僕が実際に受け取ったのは、雇用保険の基本手当です。
民間サービスを利用するかどうかにかかわらず、受給条件や所定給付日数については、最終的にハローワークへ確認する必要があります。
参考:基本手当の所定給付日数|ハローワークインターネットサービス
僕は民間サポートを利用しましたが、退職を考えている人全員に必要だとは思いません。
雇用保険の相談や申請は、ハローワークなどの公的窓口でもできます。
相談をきっかけに、メンタルクリニックを受診した
民間の退職サポートへ相談したあと、紹介を受けてメンタルクリニックを受診しました。
そこで、双極性障害と診断されました。
時系列にすると、次の順番です。
相談 → 受診 → 診断 → 退職届
会社員だった頃の僕には、自分から医療機関へ相談するという発想がありませんでした。
受診が必要なほど状態が悪いとは、自分では考えていなかったのだと思います。
医師から診断を受けたことで、仕事がしんどいのは、気持ちの持ちようだけで片づけられる問題ではないと分かりました。
今の環境で無理を続けるより、一度離れたほうがいいかもしれない。
そう考えるきっかけになったのは間違いありません。
※診断名や心身の状態、必要な治療・休養は人によって異なります。僕と似た状況だからといって、同じ診断や制度利用につながるとは限りません。心身の状態が気になる場合は、体験談だけで判断せず、医療機関や公的な相談窓口へ相談してください。
退職後、雇用保険の所定給付日数が300日になった
退職後、僕は雇用保険上の就職困難者として認定され、基本手当の所定給付日数が300日になりました。
この300日という期間ができたことは、僕にとって大きかったです。
すぐに次の正社員転職を決めるのではなく、体調を見ながら無理のない範囲で求職活動を続け、正社員以外の働き方についても調べる時間を持てたからです。
退職前には、図書館で本を借りて勉強したり、ネットで情報を集めたりしながら、今後の働き方を考えようと思っていました。
ただし、就職困難者に該当するかどうかや所定給付日数は、個別の状況によって異なります。民間サービスを利用すれば300日になるわけではありません。実際の受給資格や日数は、ハローワークへ確認してください。
退職前に準備できなかったこともあった
生活費や制度について確認した一方で、退職前に決められなかったこともあります。
一番大きかったのは、次の仕事です。
何をして働くのか。いつから働くのか。どのくらいの収入を目指すのか。
そこまでは決められませんでした。
一般的には、次の仕事を決めてから退職したほうが、収入は途切れにくくなります。僕も、できることならそうしたかったです。
でも当時は、転職先を急いで決めることより、今の環境から離れて心身の状態を整えることを優先しました。
すべてを準備してから辞めたのではありません。
今の環境を離れるために、最低限確認したかった生活費と制度を調べ、決められなかった部分は退職後に持ち越しました。
退職後に知った「休職」という選択肢
退職後に知り、「退職前にもう少し調べておけばよかった」と感じたのが、休職と傷病手当金です。
メンタルクリニックを受診して双極性障害と診断された時点で、すぐに退職するのではなく、いったん休職する道もあったのかもしれません。
- そのまま働き続ける
- 退職する
- いったん休職する
当時、休職を選べたかどうかは分かりません。
それでも、比較できる選択肢として知っておきたかったです。
ただし、休職制度の有無や期間、休職中の扱いは、会社の就業規則によって異なります。
傷病手当金についても、業務外の病気やけがの療養で仕事に就けないこと、連続する3日間を含み4日以上仕事を休んでいること、休業期間について給与の支払いがないことなどの条件があります。実際に対象になるかは、加入している健康保険や個別の状況によって確認が必要です。
僕自身が、当時実際に休職や傷病手当金を利用できたのかは、今となっては分かりません。
退職を後悔しているわけでもありません。
ただ、「辞めるか、そのまま働き続けるか」の二択だけでなく、「いったん休む」という選択肢も並べて考えられていたら、判断材料は増えていたと思います。
まとめ|完璧ではなく、一番不安なことから確認した
僕は、次の仕事も退職後の予定も決まっていない状態で、会社を辞めると決めました。
それでも、勢いだけで退職届を出したわけではありません。
退職すると決めてから、僕がしたのは次のことです。
- 毎月の生活費と固定費を計算する
- 妻の収入や雇用保険を含め、一定期間生活できるか考える
- 妻と退職後の生活について話す
- 国保・年金・住民税について役所へ確認する
- 分からない制度について相談する
- 心身の状態を確認するため、医療機関を受診する
その一方で、次の仕事は決められませんでした。休職や傷病手当金のように、退職後に初めて知った選択肢もあります。
完璧に準備できたから、迷いなく辞められたわけではありません。
僕の場合、一番怖かったのはお金でした。
だからまず、生活費を数字にして、使える可能性のある制度を確認しました。それによって、先の見えなかった退職後の生活を、少しだけ具体的に考えられるようになったんです。
退職前に何を確認した方がよいかは、その人が抱えている不安によって変わります。
すべてを一度に準備できなくても、まずは自分が一番不安に感じていることを一つだけ言葉にして、必要な情報を確認する。
僕にとっての退職準備は、そこから始まりました。
次の記事では、退職届を出したその日が突然最後の出勤になったことと、会社を辞めた直後の気持ちについて書きます。


