仕事を辞めたい。
でも、辞めてどうしたいのかは分からない。
何が不安なのか聞かれても、うまく答えられない。
そんな状態のまま、一人で同じことをぐるぐる考え続けている。
そんな方もいるんじゃないでしょうか。
このページでは、「辞めるか、残るか」の答えを出すのではなく、
- 今、何がしんどいのか
- 何が怖くて動けないのか
- 自分で確認できることは何か
- 誰に何を相談したいのか
を少しずつ言葉にしていきます。
全部をきれいに整理する必要はありません。
書けない項目があっても、「分からない」と残しておけば十分です。
まずは、今の自分が抱えている不安を一つ見つけるところから始めてみましょう。
このページでできること
- 今しんどいことを整理する
- 動くのが怖い理由を分ける
- 分からないことを見つける
- 相談するときに使えるメモを作る
整理する余裕がないときは、先に相談してもいい
このページでは、悩みを整理して相談に使えるメモを作ります。
ただ、心や体のつらさが強いときは、メモを完成させてから相談する必要はありません。
たとえば、
- 仕事のことを考えると強い苦痛を感じる
- 眠れない、食べられない状態が続いている
- 仕事や日常生活に大きな影響が出ている
- 自分一人では抱えきれないと感じている
こういう状態なら、書ける範囲だけ書いて、医療機関や相談窓口へつながることを優先しても大丈夫です。
ここに挙げたものは、病気かどうかを自分で判断するためのチェックリストではありません。「これくらいで相談してもいいのかな」と迷っていること自体を、そのまま伝えることもできます。
働く人やその家族は、厚生労働省の「こころの耳」で電話・SNS・メールによる相談を利用できます。
相談できる内容や受付時間は、利用前に公式サイトで確認してください。
「今しんどいこと」と「動くのが怖い理由」を分ける
「仕事を辞めたいけど、どうしたらいいか分からない」というとき、実は二つの悩みが混ざっていることがあります。
一つは、今の職場で起きている問題。
もう一つは、何かを変えたあとの不安です。
まずは「なぜ辞めたいのか」と大きく考えるより、最近しんどかった場面を一つ思い出してみてください。
たとえば、
- 上司から仕事を頼まれたとき
- 会議で発言を求められたとき
- 残業が続いて帰宅したとき
- 日曜の夜に翌日のことを考えたとき
といった具体的な場面です。
その場面について、次のように分けてみます。
記入例
今しんどいこと
急な仕事が多く、毎日予定どおりに帰れない。
動くのが怖い理由
辞めて収入がなくなることと、次の職場でも同じ働き方になることが怖い。
この二つは、無理に一つの理由へまとめなくて大丈夫です。
「今の職場がしんどい」という気持ちと、「環境を変えるのも怖い」という気持ちは、同時にあってもおかしくありません。
Tomoriの経験
僕も以前は、「仕事を辞めたい」と愚痴を言っていました。
でも、何がしんどくて、誰に何を相談したいのかまでは整理できていませんでした。
今振り返ると、辞めるかどうかを考える前に、困っていることをもう少し言葉にできていればよかったと思います。
辞めたい理由自体をもう少し掘り下げたい場合は、次の記事でも具体的な場面から考える方法を紹介しています。
仕事を辞めたいけど理由がわからない|「なんとなく」を整理する方法
不安を「お金・仕事・体調・周囲の目」に分けてみる
今度は、「動くのが怖い理由」を少し分けてみます。
不安は一つとは限りません。複数に当てはまっても、どこにも分類できないものが残っても大丈夫です。
お金の不安
- 退職後の収入がなくなるのが怖い
- 毎月いくら必要なのか分からない
- 保険や税金の負担が心配
- 利用できる制度があるのか分からない
仕事の不安
- 次の仕事が決まっていない
- 転職しても同じことになりそう
- 自分にできる仕事が分からない
- 今より条件が悪くなるのが怖い
体調の不安
- 今の働き方を続けられるか分からない
- 休んだほうがいいのか判断できない
- 体調について、職場へどう伝えればいいか分からない
- 通院や治療と仕事を両立できるか不安
周囲の目が気になる
- 家族に反対されそう
- 上司に迷惑をかけると思われそう
- 同僚へ申し訳ない
- 親族や知人からどう見られるか怖い
周囲の目が気になる場合は、さらに二つに分けてみてください。実際に言われたことと、自分が予想している反応です。
たとえば、「家族から収入について心配されている」は実際に言われたことです。
一方で、「親族から根性がないと思われるかもしれない」は、まだ実際に言われたわけではなく、自分が予想している反応です。
どちらも自分にとっては本当の不安ですが、分けておくと、事実として確認することと、自分の気持ちとして相談することが見えやすくなります。
ここまでで分類できない不安があれば、「その他」としてそのまま残しておいてください。
自分で確認できることと、誰かに聞きたいことを分ける
不安の中身が少し見えてきたら、次は「今分かっていること」と「まだ分からないこと」を分けます。
分からないことを、すべて自分で調べる必要はありません。ここでの目的は、相談する前に完璧な答えを出すことではなく、何を確認したいのかを見つけることです。
次の四つに分けてみましょう。
すでに分かっていること
例:毎月の手取り、今の勤務時間、残っている有給休暇の日数
まだ分からないこと
例:退職した場合、いつまで収入があるのか分からない
手元の資料などで確認できそうなこと
例:給与明細で手取りを確認する、就業規則で休職制度を確認する
専門家や窓口へ聞きたいこと
例:自分が利用できる制度があるのか、退職前に必要な手続きは何か
確認できる資料には、次のようなものがあります。
- 給与明細
- 雇用契約書や労働条件通知書
- 就業規則
- 会社から渡された制度案内
- 健康保険や年金に関する書類
- 医療機関から受け取った書類
とはいえ、資料が見つからないこともあると思います。その場合は、「どの資料を見ればいいか分からない」と相談しても構いません。
制度の名前や条件を自分ですべて理解してからでないと、窓口を利用できないわけではありません。「退職したら生活費が不安です。何を確認すればいいですか」という段階から聞いても大丈夫です。
相談するときに使えるメモにまとめる
ここまでに考えたことを、相談するときに見せられる形へまとめます。
次の枠内をスマホのメモへコピーして使ってください。
相談用メモ
【今、困っていること】
【いつ頃から続いているか】
【分かっていること・確認したこと】
【分からないこと・聞きたいこと】
【希望していること】
【まだ決めていないこと】
全部を埋めなくても大丈夫です。「いつからか分からない」「何を聞けばいいかも分からない」。そういう状態も、相談先へ伝えられる情報の一つです。
次は、このメモを使った架空の記入例です。僕自身の体験ではありません。
架空の記入例
【今、困っていること】
残業が続き、朝起きるのがつらくなっている。
【いつ頃から続いているか】
3か月くらい前から。
【分かっていること・確認したこと】
有給休暇の日数は給与明細で確認した。休職制度はまだ確認できていない。
【分からないこと・聞きたいこと】
今の状態で仕事を続けてもよいのか。休む場合、会社へ何を伝えればよいのか。
【希望していること】
まずは少し休みたい。
【まだ決めていないこと】
退職するかどうかは決めていない。
希望していることと、まだ決めていないことを分けるのがポイントです。
「体調について相談したいけれど、退職するかは決めていない」
「生活費を確認したいけれど、転職するとは決めていない」
こういう伝え方でも問題ありません。相談したからといって、その場で大きな決断をする必要はないんです。
メモの内容に合う相談先を選ぶ
相談先は、「仕事を辞めたい人が行く場所」という基準ではなく、何について確認したいかで選びます。
ここでは、無料または公的な窓口を中心に紹介します。
心や体の状態について相談したい
相談先:かかりつけ医、精神科・心療内科などの医療機関、こころの耳
伝える情報:困っている症状、いつ頃から続いているか、仕事や生活への影響、服用している薬など
「こころの耳」では働く人や家族の悩みを電話・SNS・メールで相談できますが、診断や治療は医療機関で確認する必要があります。
職場の労働条件やトラブルについて相談したい
相談先:総合労働相談コーナー
伝える情報:いつ何があったか、会社から言われたこと、雇用契約書やメールなど手元にある資料、自分が確認したいこと
総合労働相談コーナーでは、解雇、雇止め、配置転換、賃金、いじめ・嫌がらせなど、幅広い労働問題について無料で相談できます。
次の仕事や雇用保険について確認したい
相談先:ハローワーク
伝える情報:現在の雇用状況、退職予定の有無、希望する働き方、確認したい手続きや求人条件
ハローワークでは、職業相談・職業紹介や雇用保険の手続きを扱っています。ただ、給付の対象になるかどうかは、それぞれの状況や条件によって異なります。
生活費や住まいを含めて相談したい
相談先:住んでいる地域の自立相談支援機関や自治体の担当窓口
伝える情報:世帯の状況、現在の収入、毎月の支出、住まいの状況、いつ頃から生活が厳しくなりそうか
自立相談支援機関では、お金、仕事、住まいなど生活全般の困りごとを相談できます。
これからの働き方や選択肢を整理したい
相談先:キャリア相談、公的な就労相談、ハローワークなど
伝える情報:今の仕事でしんどいこと、次の職場で避けたいこと、希望する働き方、まだ決めていないこと
相談先ごとの役割を詳しく比べたい場合は、次の記事で紹介しています。
どの窓口が合うか判断できない場合は、
「どこへ相談すればいいか分からないので、まず話を聞いてほしいです」
と伝えるところからでも構いません。
相談すれば必ず問題が解決する、制度を利用できる、希望どおりの対応を受けられるとは限りません。それでも、自分だけでは分からなかったことを確認し、次に何を考えるか整理するために相談先を使うことはできます。
今日は、不安を一つ言葉にできればいい
このページを読んでも、仕事を辞めるべきかどうかの答えは出ないかもしれません。
でも、
「収入がなくなることが怖い」
「次も同じ職場環境になるのが怖い」
「体調のことを誰に相談すればいいか分からない」
と一つ言葉にできれば、漠然としていた不安が少し形を変えます。
そこから、
- 自分で一つ確認する
- 誰かに一つ質問する
- 相談用のメモを残しておく
- 今は何もしないで少し休む
という選択ができます。
相談の必要を感じなければ、すぐにどこかへ連絡しなくても大丈夫です。今日書いたメモを残しておいて、必要になったときに見返すだけでも構いません。
退職や転職を決めることだけが、次の一歩ではありません。
まずは、今の自分が何を不安に感じているのかを一つ言葉にする。今日はそこまでで大丈夫です。
